OUGI Leathers

2024/11/20 14:11




革製品と長く付き合うために

OUGI Leathersでは、革の風合いやエイジングを楽しみながら、できるだけ長く良い状態で使っていただくことを大切にしています。

ここでは、革製品を長持ちさせるための基本的な考え方から、革別のメンテナンス方法、雨濡れや保管、革の種類がわからない場合の対処法までまとめてご紹介します。

 

革が長持ちするために適した状態とは?

革を長く使っていくには、「乾燥しすぎず、湿りすぎず」のバランスが大切です。
具体的には、適度な油分と水分を保っている状態が、革にとって最も安定したコンディションといえます。

革にはもともと動物の皮膚だった頃の油分や水分が残っていて、それがしなやかさや柔軟性につながっています。
使っていくうちにこの油分や水分が少しずつ抜けていくため、適切なタイミングで補ってあげるケアが必要になります。

乾燥しすぎると、革が硬くなったりひび割れを起こしたりします。
逆に湿気が多すぎると、カビが発生したり、革の繊維が弱ってしまうこともあります。

室内で過ごしている革製品は、見た目ではわかりにくくても少しずつ乾いていきます。
そのため、保管環境に気を配りつつ、定期的に油分・水分を含んだクリームなどでケアすることが、革を長く使うための基本になります。

 

革別メンテナンスの基本

革製品を長く使っていくには、革に合った手入れが欠かせません。
ここではOUGI Leathersで使用している革を例に、それぞれに適した道具とお手入れ方法をご紹介します。

 

使用する主な道具

・豚毛ブラシ(ホコリを払う)
・ポリッシングクロス(クリームの塗布・乾拭き)
・馬毛ブラシ(仕上げ磨き)

 

ブッテーロ

スムースなタンニンなめし革。コシがありながらも手に馴染む、発色の美しいレザーです。

・豚毛ブラシで表面のホコリを軽く払う
・カラーレスのシュークリームをクロスにごく少量取り、薄く塗布
・数分後、馬毛ブラシで軽く磨く

※頻繁にクリームを塗りすぎるとべたつきの原因になります
※強く磨きすぎると部分的なムラが出やすいです

 

マレンマ

ブッテーロよりもオイルを多く含み、しっとりとしたマットな風合いが特徴のレザーです。

・豚毛ブラシでホコリを払う(オイルが浮いている場合はなじませる)
・乾いたクロスで乾拭き
・必要に応じて馬毛ブラシで軽く磨く

※オイルを多く含むため、クリームの重ね塗りは逆効果です
※湿気のこもる場所での保管はカビの原因になります

 

ドラーロ

ブッテーロに型押しと加脂加工を施したレザー。立体感と深みのある表情が特徴です。

・豚毛ブラシで型押しの凹みにたまったホコリを払う
・クロスで少量のシュークリームを塗布(溝に残らないよう注意)
・馬毛ブラシで軽く磨く

※クリームが型押しの凹みに溜まりやすいので少量ずつ
※強いブラッシングで模様が摩耗することがあります

 

ブッテーロハッチ

細かい型押しが施されたブッテーロ。基本的な革質はブッテーロと同様です。

・ドラーロと同様のケアでOK
・塗布時はトントンと軽く押し当てるようにして、馬毛ブラシで整える

※クリームを押し込みすぎないように注意
※強く磨きすぎると立体感が薄れてしまいます

 

ミネルバリスシオ

オイルをしっかり含んだスムースレザー。やや柔らかく、しっとりとした触感です。

・豚毛ブラシでホコリを落とす
・基本は乾拭きのみでOK
・乾燥してきたと感じたら、カラーレスのシュークリームをごく薄く塗布 → 馬毛ブラシで仕上げ

※頻繁なクリーム使用よりも、自然なエイジングを重視するのがおすすめです
※濡れたまま放置するとシミの原因になります

 

プエブロ

独特な起毛感と和紙のような風合いが特徴のレザーです。

・豚毛ブラシでホコリを軽く払う(起毛をつぶさないように)
・乾拭きで表面のオイルをなじませる
・必要に応じてアニリンクリームをごく薄く塗布 → クロスでなじませる

※起毛感が残っているうちはクリームを塗らないように
※強く磨いてツヤを出そうとしない(風合いが損なわれます)

 

ヴォーノアニリン

透明感のある染料仕上げのレザー。控えめなツヤで、革本来の表情が見える自然な仕上がりです。

・豚毛ブラシでホコリを払う
・乾拭きで整えたあと、必要に応じて
 - アニリンクリームを使えばマットな質感に
 - シュークリームを使えば少しツヤが出せる
・馬毛ブラシまたはクロスで仕上げ

※染料仕上げのため、色付きクリームやワックス使用は慎重に
※強く擦ると色ムラが出やすいです

 

ヴォーノオイル

オイルをたっぷり含み、しっとりとした仕上がりの革です。ややマットな光沢感。

・豚毛ブラシでホコリを落とす
・通常は乾拭きだけでOK
・乾燥が気になるときだけアニリンクリームをごく少量 → 馬毛ブラシで整える

※油分が多いため、クリームの重ね塗りは避けてください
※乾燥が進んでいる場合も、いきなり厚塗りせず様子を見ながらケアしてください


革の種類がわからないときの無難なケア

・豚毛ブラシでホコリを払い、乾拭きする
・乾燥しているようならアニリンクリームを少しだけ使う
・馬毛ブラシで仕上げる

※色付きクリーム、水拭き、強い摩擦は避けましょう
※革の種類がわからないときは「整える」程度のやさしいケアが基本です


雨に濡れてしまったときは?

・乾いた布でやさしく押さえて水分を取る(こすらない)
・型崩れを防ぐよう整え、風通しの良い日陰で自然乾燥
・完全に乾いてからケア(クリームで保湿・馬毛ブラシで整える)

※ドライヤーや直射日光はNG
※シミができても無理にこすらず、優しく整えるのが基本です

 

保管方法について

・直射日光や高温多湿を避け、風通しの良い場所で保管
・通気性のある布袋や箱に入れ、密閉しない
・月に1度ほど取り出して軽く乾拭きするだけでも状態が保たれます

※バッグなどは中に紙や布を詰めて形を整えて保管してください


まとめ

過剰なケアよりも、「必要なときに、必要なだけ」整えることが、革と長く付き合うための基本です。
どう育っていくかを楽しみながら、日々の道具としても、自分だけの革に育てていってください。